オリエント考古美術
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インダス文明



出土地: ホズダル遺跡
年代: 紀元前3千年紀
材質: テラコッタ
寸法: 高さ 14 cm

インダス河流域に栄えた文明は最古の四大文明の一つです。インダス文明の遺跡からその文化を語る土器や土偶が発掘されました。この土器は、ホズダルというパキスタン、バルチスタン地方の遺跡から出土しました。
この土器は、轆轤で形作られおり、表面を飾る絵は茶色がかった赤色のアクセント以外にモノクロです。壷絵の主なモティーフは様式化された山羊の2列と2種類の幾何学文様です。
インダス文明の壺絵に用いられる動物のモチーフは山羊以外にはコブ牛や豹、鶉を思わせる鳥や猛禽です。豊穣多産や力強さを象徴していた牛や豹が聖なる木のハオマ樹から生命をもらうような場面も描かれています。インダスの壺に見られる生命の木は菩提樹です。
動物と聖なる木の場面はメソポタミア美術からもよく知られています。豪華に表された菩提樹も古代から重視され、木全体やハート型の葉はインダス土器を飾る重要なモチーフです。そして2千年も経った同じ地で仏陀が菩提樹の下で悟りを開いたと伝えられています。
鳥の土偶、ホズダル出土
この器が出土した遺跡から多数の粘土製の動物の土偶も発見されています。コブ牛、鳥、豹、羊、魚があります。無垢の土偶もあれば、中は空洞で粘土を焼く時に破裂しないように胴体に円い穴が開いているものもあります。一つの鳥の土偶から焦げた麦のような穀物の実が見つかりました。
土偶は奉納品だったことを示すでしょう。美術史の考えとしては、古い時代の美術は宗教的な意味合いから切り離せないものです。当時の作品は芸術的な手段による描写ではなく、その作品自体を神聖視していたと考えられています。従って、あらゆる塑像や模様は宗教上の意味合いを持ち合わせていたと思われます。
牛の土偶、ホズダル出土
一方、ホズダル遺跡から北方へ約100キロ程離れたメールガル遺跡から彩色土器が発掘されたことは歴史を書き換えました。なぜならば、それまで最も古い彩色土器はメソポタミアのものだったと信じられていましたからです。メールガルの土器も轆轤で形作られていますが、ホズダルのものと違って壁が薄く、繊細です。使われた粘土は粒子の細かくて質の高いものです。土器の表面は焼く前に黒い輪郭でデザインが描かれ、焼いてから黄色や白や青や赤の顔料で色が塗り込まれていました。
メールガル出土の彩色土器を飾る主なデザインはホズダルの土器同様、幾何学文様の他、魚、鳥、牛、カモシカ、蠍や空想動物のグリフィンなどです。菩提樹も表されていますが、文学や芸術に用いる pars pro toto (ラテン語:「全体に代わる一部分」)と言う表現手段が見られ、菩提樹の葉のみが描かれます。時々牛の代わりに頭部だけ描かれる例もあります。これはメールガル風の象徴主義と思われます。また、ホズダル出土の器や土偶に見られる鶉や鳩のような大人しい鳥と違って、メールガルの鳥は猛禽類の嘴をしています。 多種多様の幾何学文様に表現されるインダス文明の人々の抽象的な発想と豊かな色彩感覚に関心させられます。



土偶(牛) 地母神 印章

紀元前3千年紀、ホズダル、テラコッタ
高さ 7.7 cm 長さ 9.5 cm

紀元前3千年紀、メルガール、テラコッタ
2.3 cm x 2.3 cm

紀元前3千年紀、メルガール、石
高さ 4 cm


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